メキシコにいた時に知り合った自転車で世界一周をしていたあの人。
30になるかならないかの頃に突然逝ってしまった音楽サークルの先輩。
おなじく30になるかならないかの頃に突然逝ってしまった幼馴染。
それは天命なんかも知らんけど、想い半ばで先に行くことになった彼らに対していつも思う。
『やりたい事やらしてもろてんねんし、自分らの分までとことんやってみるわな!』
でないとあっちでみんなに会った時に恥ずかしいて顔向け出来へんもんな。
『あなたのいた風景』の主人公は嫁ぎ先の土地で震災によって最愛の人を失います。
あんなに嫌だった『あなた』の生まれ故郷を、知らないうちに、いつの間にか自分の故郷のように思っていた自分に、その土地を離れることになってはじめて気付きます。
生きるために『街』で生きることを選択しますが、憧れと現実、理性と心の狭間にもがきながら日々を過ごしています。
そんな彼女に『乾いた風景』を歩き続けなければ、と思わせるもの。
それが先にも書いた、『そうでなければあなたに恥ずかしいから』という思いです。
頑張れ!とか、頑張ろ!とかって言葉は苦手やなぁ。
かといってそれに代わるええ表現をすぐには思いつかへんさかいに、そういうシチュエーションの時はいつも困る。
震災から10年。
まだまだ悲しみの底にいらっしゃる方も多いと思います。
それでもそうやって懸命に生きている人に、頑張れ、頑張ろ、とはよう言わんのんで、せめて、気持ちに寄り添って、あなたの苦しみ、頑張りは知っていますよ、解ってますよ、と。
そういうつもりで書いた曲です。
いまだにそういう方々の思いを想像すると泣けてきます。
物質面での復旧・復興も大事ですが、心の復旧・復興は何よりも大事です。
何も持たないわしに何が出来るというわけではないですが、せめて、いまを懸命に生きたいと思います。
ひと足早く春の訪れを知らせてくれるユキヤナギや寒緋桜が、今年も何事もなかったかのように綺麗に花をつけていました。